たばこの小売販売業の許可について行政書士が解説
かつては町中のあちこちに、住宅街の中にも点々と見受けられた「タバコ屋さん」ですが、昨今ではタバコの自動販売機がポツンと残っている程度でほとんど見かけなくなってしまいました。
しかしながらコンビニなどではタバコは必須の商品ともいえる程にどこの店舗でも販売しており、まだまだ需要はあります。
そんなタバコの販売をするためには「製造たばこの小売販売業の許可」が必要です。
ここでは「製造たばこの小売販売業の許可」取得までの要件や流れを解説していきます。
簡易に飲食店内を喫煙可能にしたいという方は▶たばこの出張販売許可をご参考にして下さい。
目次
たばこ小売販売業の種類
たばこ小売販売業には、「特定小売販売業」及び「一般小売販売業」があります。
いわゆる「たばこ屋さん」やコンビニでタバコの販売をする場合は「一般小売販売業」に該当します。
下表をご参考にしてください。
販売形態 | |
「特定小売販売業」 | 劇場、旅館、飲食店、大規模な小売店舗(売場面積が400平方メートル以上の店舗)等の閉鎖性があり、かつ、喫煙設備を有する消費者の滞留性の強い施設内でたばこ販売を行う時 |
「一般小売販売業」 | 上記以外での販売 |
許可の基準
下記の①~⑦にひとつでも該当する場合は許可を受けることはできません。
①人的要件
申請者が、たばこ事業法による罰金刑を受けて 2 年以内の者、破産者等のたばこ事業法(第 23条第1号から第7号まで)に定める者に該当する場合
第23条 財務大臣は、前条第一項の許可の申請があつた場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、許可をしないことができる。 一 申請者がこの法律の規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者であるとき。 二 申請者が第三十一条の規定により前条第一項の許可を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者であるとき。 三 営業所の位置が製造たばこの小売販売を業として行うのに不適当である場合として財務省令で定める場合であるとき。 四 製造たばこの取扱いの予定高が財務省令で定める標準に達しないと認められるとき。 五 申請者が破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない場合その他小売販売を業として行うのに不適当である場合として財務省令で定める場合であるとき。 六 申請者が法人であつて、その代表者のうちに第一号若しくは第二号に規定する者又は破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者に該当する者があるとき。 七 申請者が未成年者であつて、その法定代理人が第一号若しくは第二号に規定する者若しくは破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者に該当する者であるとき、又はその法定代理人の代表者のうちに第一号若しくは第二号に規定する者若しくは破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者に該当する者があるとき。 |
②営業所の位置要件
予定営業所の位置が、袋小路に面している場所等たばこの購入に著しく不便と認められる場所である場合
③距離基準要件(特例あり)
予定営業所と最寄りのたばこ販売店との距離が、予定営業所の所在地の区分ごとに定められた下の表の基準距離(単位:m)に達していない場合
環境区分 | ||||||
繁華街(A) | 繫華街(B) | 市街地 | 住宅地(A) | 住宅地(B) | ||
地域区分 | 指定都市 | 25 | 50 | 100 | 200 | 300 |
市制施行地 | 50 | 100 | 150 | 200 | 300 | |
町村制施行地 | 150 | 200 | 300 |
上表の「地域区分」と「環境区分」について
地域区分 | 区分の定義 |
指定都市 | 人口50万人以上の市制施行地及び東京都の特別区 |
市制施行地 | 上欄に規定する指定都市以外の市制施行地 |
町村制施行地 | 町村制施行地 |
(注) 「市制施行地」及び「町村制施行地」とは、地方自治法第8条に規定する市及び町村をいいます。
環境区分 | 認定の基準 |
繫華街 |
指定都市又は市制施行地であって、次の一に該当する街路等 (イ) 乗車人員が、1日当たり20,000人以上の大規模な駅、 バスターミナル (ロ) 遊興飲食施設、商店及び観光客施設が100店以上連続している街路
繁華街のうち、乗車人員が、1日当たり50,000人以上の駅、 バスターミナル及び遊興飲食施設等が200店以上連続している街路を繁華街(A)とし、その他を繁華街(B)とします。 |
市街地 | 市街地形成施設が20%を超える部分を占めている街路(繁華街(A)及び繁華街(B)に該当するものを除きます。) |
住宅地 |
住宅と農地等が80%以上を占めている街路
住宅地のうち、農地等が2分の1を超える部分を占めている街路又は農地等の中に50世帯未満の小規模な住宅の集団を形成している地域における街路を住宅地(B)とし、その他を住宅地(A)とします。 |
(注)
1「遊興飲食施設」とは、遊技場、料理店、バー、喫茶店、劇場その他これらに準ずる施設をいいます。
2「観光客施設」とは、観光地にあるみやげ物店、旅館その他観光客を対象とする施設をいいます。
3「市街地形成施設」とは、遊興飲食施設、商店、観光客施設、銀行、官公庁、事務所、運動・レジャー施設、工場その他これらに 準ずる施設をいいます。
4「農地等」とは、農地、空地その他これらに準ずるものをいいます。
④自動販売機設置場所要件
自動販売機の設置について
一般小売販売業の許可申請の場合
自動販売機の設置場所が、店舗に併設されていない場所等たばこの販売について二十歳未満の者の喫煙防止の観点から十分な管理、監督が期し難いと認められる場所である場合 この場合の「店舗に併設」とは、自動販売機が、店舗内に設置されている場合又は店舗外に店舗と接して設置されている場合であって、店舗内の従業員のいる場所から当該自動販売機及びその利用者を直接かつ容易に視認できる状態をいいます。
特定小売販売業の許可申請の場合
自動販売機の設置場所が、施設の従業員又は管理者等二十歳未満の者の喫煙防止の観点から当該自動販売機の管理について責任を負う者のいる場所から当該自動販売機及びその利用者を直接かつ容易に視認できない場所である場合 ただし、工場、事務所その他の自動販売機の利用が主として当該施設に勤務する者等特定の者に限られると認められる施設内の場所を予定営業所とする場合は除きます。
⑤取扱い予定高要件(特例あり)
予定営業所におけるたばこの取扱予定高が、月間4万本に満たない場合
⑥営業所の使用権利要件
予定営業所の使用の権利がない場合(許可後1ヶ月以内に開業の見込みがない場合を含みます。)
⑦法人の目的要件
申請者が法人であって、たばこの販売が当該法人の定款又は寄附行為によって定められた目的の範囲に含まれない場合
距離基準の特例
①特定小売販売業の特例
特定小売販売業の許可の申請の場合は、距離基準を満たしているものとみなされます。
②身体障害者等の特例
申請者が、身体障害者福祉法第4条に規定する身体障害者又は母子及び父子並びに寡婦福祉法第6条第4項に規定する寡婦若しくは同条第6項に規定する配偶者のない女子で現に児童を扶養している者(以下「身体障害者等」という。)である場合は、距離基準の表における予定営業所の所在地の該当する欄の数値の8割に緩和されます。
③休業店の特例
最寄りのたばこ販売店が正当な理由なく1ヶ月以上休業している場合は、予定営業所と当該販売店との距離は測定されません。
最寄りのたばこ販売店の次に近いたばこ販売店が距離の対象となります。
④低調店の特例
最寄りのたばこ販売店のたばこの販売数量が一定の数量以下の場合は、予定営業所と当該販売店との距離は測定されません。
最寄りのたばこ販売店の次に近いたばこ販売店が距離の対象となります。
⑤廃業跡地及びその周辺の特例
許可後5年以上のたばこ販売店が廃業し、廃業から30日以内にその跡地またはその周辺で申請する場合は、原則として、距離基準の表における予定営業所の所在地の該当する欄の1欄左の環境区分欄に応じた数値が適用されます。
⑥大規模な団地の特例
予定営業所が、店舗を設けることのできる区域に制限のある大規模(300世帯程度以上。以下同じ。)な団地内に位置する場合は、距離基準を満たしているものとみなされます。
⑦大規模な団地の周辺の特例
予定営業所が、上記⑥以外の大規模な団地内に位置する場合、又は上記⑥の団地の周辺に位置する場合は、距離基準の表における予定営業所の所在地の該当する欄の 1欄左の環境区分欄に応じた数値が適用されます。
⑧交通の拠点の特例
予定営業所が、駅、バスターミナルその他交通の拠点(乗車人員が1日当たり概ね5,000人以上。)の周辺に位置する場合には、基準距離の表における予定営業所の所在地の該当する欄の1欄左の環境区分欄に応じた数値が適用されます。
⑨異なる人の流れの特例
予定営業所が、上記⑧の駅、バスターミナルその他交通の拠点の周辺に位置する場合であって、予定営業所と最寄りのたばこ販売店とが当該交通の拠点を中心にそれぞれ明らかに異なる人の流れに面している場合には、予定営業所と当該販売店との距離は測定されません。
⑩視認の特例
予定営業所が繁華街又は市街地に位置する場合において、最寄りのたばこ販売店(看板等も含む)が予定営業所の面している街路を歩行する消費者から、直接、かつ、容易に見えない場合は、予定営業所と当該販売店との距離は測定されません。
⑪地上と地下の異なる道路に面する場合の特例
予定営業所と最寄りのたばこ販売店とが、地上と地下の異なる道路に面している場合には、予定営業所と当該販売店との距離は測定されません。
⑫往復合計4車線道路の特例
予定営業所と最寄りのたばこ販売店とが、往復合計4車線以上の道路を隔てて位置する場合には、原則として、予定営業所と当該販売店との距離は測定しません。
取扱高基準の特例
①身体障害者等の特例
申請者が、身体障害者等である場合は、取扱高基準が月間3万2千本に緩和されます。
②特定小売販売業の特例
特定小売販売業の許可の申請の場合は、取扱高基準が月間3万本とされます。
③山間地等の特例
予定営業所が最寄りのたばこ販売店から著しく遠隔地である山間地等の場所にある場合で、申請者が予定営業所において生活必需品等の小売販売業等を営んでおり、かつ、生活必需品の調達状況、当該地域の消費者のたばこの購買の利便を考慮する必要がある場合には、取扱高基準を満たしているものとみなされます。
④繁華街等の特例
予定営業所が繁華街又は市街地に位置する場合において、最寄りのたばこ販売店との距離が基準距離に達している場合は、取扱高基準を満たしているものとみなされます。
⑤廃業跡地及びその周辺の特例
廃業跡地及びその周辺の特例に関する申請で、最寄りのたばこ販売店との距離が基準距離に達しており、かつ、周辺の需給状況等を勘案して特に営業所の設置を必要と認めたときは、 予定営業所の所在地が住宅地(A)の環境区分にある場合は、月間2万本まで 予定営業所の所在地が住宅地(B)の環境区分にある場合は、月間1万5千本まで 取扱高基準を緩和されます。
許可申請
提出先は小売販売業を行おうとする予定営業所の最寄りの日本たばこ産業株式会社の支社になります。
提出書類
個人の場合
①誓約書(たばこ事業法第23条各号に該当しない者であることの誓約書)
②住民票の抄本
③身分証明書(本籍のある役所の長発行のもの)
④登記されていないことの証明書
⑤予定営業所の位置を示す図面(自動販売機を設置する場合には、自動販売機と店舗の位置関係が明確に分かる図面)
⑥未成年者の登記事項証明書(申請者が未成年者である場合)
⑦身体障害者手帳の写し(申請者が身体障害者の場合)
⑧母子又は父子並びに寡婦福祉法第6条第4項又は第6項に該当する旨の証明書(申請者が母子又は父子並びに寡婦福祉法第6条第4項又は第6項に該当する場合)
⑨予定営業所の所有者の同意書又は賃貸借契約書の写し(営業所が自己の所有に属さない場合)
⑩二十歳未満の者の喫煙防止に係る誓約書(許可申請者以外の者が営業又は管理を行う場所に自動販売機を設置しようとする場合)
法人の場合
①誓約書(たばこ事業法第23条各号に該当しない者であることの誓約書)
②法人の登記事項証明書
③定款又は寄附行為
④予定営業所の位置を示す図面(自動販売機を設置する場合には、自動販売機と店舗の位置関係が明確に分かる図面)
⑤予定営業所の所有者の同意書又は賃貸借契約書の写し(営業所が自己の所有に属さない場合)
⑥二十歳未満の者の喫煙防止に係る誓約書(許可申請者以外の者が営業又は管理を行う場所に自動販売機を設置しようとする場合)
標準処理期間
申請書を受理した日の属する月の末日から2月以内
登録免許税
申請に手数料等はかかりませんが、許可を受けた場合は登録免許税15、000円の納付が必要です。
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