スナックを開業する「許可・手続き」行政書士が解説
近年ひそかにスナックブームが再来しているといわれています。
これからスナックの新規オープン、開店を予定されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここではスナックの開業に必要な許可・手続きをなるべくわかりやすく解説していきます。
目次
飲食店営業許可
どのような営業形態であっても、飲食物の提供をする以上はまず「飲食店営業許可」を取得する必要があります。
大きな流れとしては、保健所への事前相談→許可申請→設備検査→許可という感じになります。
「飲食店営業許可」の取得方法については▶飲食店を開業するためには?で詳しく解説してますのでご参考にしてください。
営業形態ごとに必要な手続き
一概にスナックといっても「営業時間」や「接待をするのか」によって必要な手続きが異なります。
下記の表をご覧下さい。
営業の形態 | 必要な手続き |
接待をする | 風俗営業1号許可 |
深夜12時以降も営業する | 深夜営業届出 |
深夜12時までに閉店する | 飲食店営業許可のみ |
店側の人間が客と談笑したり、カラオケでデュエットするなどの接待を行う場合は「風俗営業1号許可」を取得する必要があります。
ただし「風俗営業1号許可」は原則として午前0時までしか営業することができません。▶風俗営業が午前1時まで可能な地域
どのような行為が接待に該当するのかは▶接待行為とは?をご参考にしてください。
深夜0時以降も営業したい場合は、「深夜営業届出」が必要になります。(一般的に「深夜営業許可」と呼ばれることが多いですが、正しくは「許可」ではなく「届出」です。さらに正式には「深夜酒類提供飲食店営業営業開始届出」となります。)
「深夜営業届出」をすれば営業時間の規制はなくなりますが、接待をすることはできません。
注意点として、「風俗営業1号許可」+「深夜営業届出」というように許可を重複して取得することはできませんので、「接待」を取るか「営業時間」を取るか決めなくてはなりません。
接待をしない、深夜0時までに閉店するという場合は「飲食店営業許可」だけで営業することができます。
まとめると、接待をするなら「風俗営業1号許可」、午前0時以降も営業するなら「深夜営業届出」、どちらにも該当しないのなら「飲食店営業許可」だけ、となります。
店内を喫煙可能にしたい
2020年の改正健康増進法の施行により飲食店内は原則として禁煙となりました。
しかし、営業所を喫煙目的店とすることで店内で喫煙を可能にすることができます。
喫煙目的店となるためには「たばこの出張販売先」となり「たばこの対面販売を行う」ことが一つの要件となります。
また、「通常主食とされる食事を主に提供しない」ということも要件となります。
詳しくは▶たばこの出張販売許可
行政書士杉並事務所は風営法に関する手続きを専門に迅速、格安で代行してます。お困りな時はお気軽にご相談下さい。▶料金表 |
風俗営業1号許可の取得方法
飲食店営業許可の取得と比べると格段にハードルが高くなっています。
要件、提出書類の量がかなり多いので、ここでは大まかな流れを説明します。
さらにくわしくはこちらをご参考にして下さい。▶風俗営業許可申請・風営法の許可申請手続きの方法
3つの要件を満たす
風俗営業の許可を取得するためには、次の3つの要件を満たしていることが必要です。
①人的要件 風営法の4条に定められている欠格事由に該当していないこと。
主な欠格事由:未成年者、破産者、一定の犯罪を犯し、その刑期を終えてから5年経っていない者。
人的要件について、詳しくはこちら
②場所的要件 営業所が「近隣商業地域」「商業地域」「準工業地域」「工業地域」のいずれかで、保全対象施設(学校や病院など)
から一定の距離を保っていること。
場所的要件について、詳しくはこちら
③構造・設備的要件 構造・設備が風営法施行規則7条で定める技術上の基準に適合していること。
主には、営業所の広さ、明るさ、見通し、騒音などの基準です。
構造的・設備的要件について、詳しくはこちら
必要書類を揃える
青字で記載した書類は必ず必要になります。他の書類も求められる場合が多いですが、警察署や担当者によって不要こともあります。
・許可申請書
・営業の方法を記載した書類
・営業所の使用について権原を有することを疎明する書類(使用承諾書・賃貸契約書・建物の登記事項証明書等)
・営業所の平面図等(営業所平面図、営業所求積図、客室等求積図、音響・照明図)
・営業所周辺の概略図
・住民票(申請者、管理者の双方必要)
・身分証明書(申請者、管理者の双方必要)
・定款及び登記事項証明書(法人の場合)
・誓約書
・人的欠格事由に該当しないことを誓約する書面
・管理者が誠実に業務を行うことを誓約する書面
・管理者が人的欠格事由に該当しないことを誓約する書面
・管理者の写真2枚
・飲食店営業許可証のコピー
・メニュー表
・入居概況説明図
・1階概略図
・入居階概況略図
・営業時間を遵守することを誓約する書面
・申請手数料24,000円(現金納付)
必要書類の書き方など、詳しくはこちら
全ての書類が揃ったら、所轄の警察署へ許可申請を行い、同時に実査の予約をします。
浄化協会による実査
実査とは、浄化協会や警察署の人が実際に営業所に訪れ、構造設備等に不備はないか?提出書類と違うところは無いか?の確認や、風俗営業をしていくうえでの注意点の説明等を行うことです。
実査までに下記の準備をしておいてください。
・店舗の入口に「18歳未満立ち入り禁止」の掲示
・店内に「20歳未満のお客様への酒類提供はいたしません」という掲示
・店内の客の見やすいところに料金表の掲示
・従業者名簿の用意
・迷惑行為防止措置(午前0時以降も営業する店舗のみ)
・苦情処理に関する帳簿の用意(午前0時以降も営業する店舗のみ)
実査での主なチェックポイントと準備について、詳しくはこちら
営業許可
提出書類に不備がなく、実査でも問題がなければ申請から55日以内に許可が出ます。
深夜営業届出の手続き方法
この届出も風俗営業許可ほどではありませがん、結構なハードルの高さとなっています。
ここでは大まかな流れを解説していきますので、さらにくわしくはこちらをご参考下さい。▶深夜営業許可の取得方法(深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出)
深夜営業ができる地域
東京都では、住宅集合地域では「深夜営業」はできません。
深夜営業ができる地域は、「近隣商業地域」「商業地域」「準工業地域」「工業地域」になります。
「風俗営業許可」にある「保全対象施設」というものはありませんので、すぐ近くに病院や学校等があっても営業可能です。
営業所、設備の要件
営業所の広さ、明るさ、見通し、騒音などの基準を満たしていること。
必要書類を揃える
青字で記載した書類は必ず必要になります。他の書類も求められる場合が多いですが、警察署や担当者によって不要こともあります。
・深夜営業開始届出書
・営業の方法
・各種図面(営業所平面図、営業所求積図、客室等求積図、音響・照明図)
・住民票(本籍地が記載されているもの)(法人の場合は役員全員分)
・飲食店営業許可書(コピーしたものでも可)
・定款のコピー、会社の登記簿謄本(法人の場合のみ、個人の場合は不要)
・在留カードのコピー(表、裏の両面)(外国人の場合)
・メニュー表
・営業所周辺の概略図
・賃貸借契約書等(自己所有の建物の場合は、建物の登記簿謄本)
・使用承諾書
・入居階平面図
・誓約書
全ての書類が揃ったら、所轄の警察署へ届出をします。
不備がなければ届出をした10日後から「深夜営業」を開始できます。
「風俗営業1号許可」「深夜営業届出」ともに非常に難しい手続きだと思います。その最大のポイントは図面作成です。
行政書士杉並事務所では図面作成代行はもちろん、できる限り個別に必要な手続きだけを代行いたします。お気軽にご相談下さい。