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様々な業態のバー 開業に必要な許可は何?

近年、色々なニーズを取り入れた業態のバーが増えています。バーの開業を考えているけど何の許可が必要なのか、どんな手続きをすれば良いのか悩んでいる方は是非ご参考にしてください。行政書士がなるべくわかりやすく解説していきます。

 

 

 

 

 

目次

飲食店営業許可の取得方法

営業形態ごとの必要な手続き

喫煙を可能にする方法

 風俗営業1号~3号

 風俗営業5号

  射幸心をそそるおそれのある遊技設備

  10%ルール

 深夜業開始届出

風俗営業許可の取得方法

深夜営業許可の取得方法

 

 

 

 

飲食店営業許可の取得方法

どのような形態のバーであっても飲食物を提供する以上は「飲食店営業許可」は必ず取得しなければなりません。

飲食店営業許可までの流れを解説します。

 

 

①保健所に事前相談

 主に、設備や構造に関する事前確認になりますので、施設の工事着工前であれば、施設の設計図面等を持参してください。

 衛生的な管理運営をするため、施設ごとに食品衛生責任者を置く必要があります。
 また、水道水、専用水道、簡易専用水道 以外の水を使用する場合、水質検査が必要です。

 

 

②飲食店営業許可申請
 下記表の必要書類全てをそろえた上で、施設の工事着工前であれば、施設工事完成予定日の10日前位には提出してください。

 

 営業許可申請書  1部  裏表両面に記入してください。
 施設の構造及び設備を示す図面  2部  営業所の施設見取り図や設備・施設の詳細が必要です。
 申請手数料  18、300円(港区は16、000円)
 食品衛生責任者の資格を証明するもの  1部  食品衛生責任者手帳や調理師免許等(コピー可)
 貯水槽や井戸水を使用する場合は、水質検査成績書
 (取得後1年以内のもの)
 1部

 賃貸物件の場合は、不動産会社やビル管理会社から入手できると思います。(コピー可)

(法人で申請する場合)

 営業許可申請書に記載された法人番号により、その法人の存立を確認します。  そのため、営業許可申請書の法人番号を記載しない場合は登記事項証明書を添付してください。(コピー可) 

 

 

③施設検査日時の予約

 営業許可申請の後、保健所職員が施設を確認しに実際に店に来ます。その日時を予約します。

 

 

④施設検査

 検査の際は営業者が立ち会う必要がります。

 保健所食品衛生監視員の検査を受け、施設の基準などに合致していれば、許可が下ります。

 施設基準に適合しない場合は、改善後に日を改め再検査となります。

 

 

⑤営業許可書交付

 許可書が交付されるまでに1週間前後かかることが多いです。自治体によって異なります。
(さらに詳しい解説はこちらを参考にしてください。▶飲食店を開業するためには?~申請手続きの流れ、要件・必要書類等

 

 

 

 

営業形態ごとの必要な手続き

「飲食店営業許可」を取得できたら、開業する店の営業形態に必要な手続きを行います。

どんな営業形態にどんな手続きが必要か、本来はもっと細かな規定がありますが、下記に大雑把にまとめます。

 

 

 必要な許可・届出         営業形態            具体的な店舗の例
 風俗営業1号許可  接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業 (接待を行う)ガールズバー、ボーイズバー、オカマバー、ゲイバー、麻雀バーなどの社交飲食店・接待飲食店
 風俗営業2号許可  照度を10ルクス以下として営むもの  低照度バー
 風俗営業3号許可  5㎡以下の客席を設けて客に飲食をさせる営業  個室バーなどの区画席飲食店
 風俗営業5号許可  射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業  ゲームバー、カジノバー、アミューズメントバー、ポーカーバー、トランプバー、シューティングバーなど

 

 深夜営業開始届出

 

 深夜12時以降酒類の提供をメインとする営業

(接待を行わないが、深夜営業をする)バー(BAR)、ダーツバー、マジックバー、ガールズバー、ボーイズバー、サパークラブ、オカマバー、ゲイバー、スポーツバー、ミュージックバーなど

 

 飲食店営業許可のみ

 

 上記の風俗営業1~5号、深夜営業の営業形態に該当しない営業

(接待を行わなず、深夜営業もしない)バー(BAR)、ダーツバー、マジックバー、ガールズバー、ボーイズバー、オカマバー、ゲイバー、スポーツバー、ミュージックバーなど

 

 

アミューズメントバーのアミューズメントとは「楽しみ」「娯楽」「遊び」といった意味ですので、本来のお酒の提供を主目的とするバーに+αで何かしらの楽しみが加わればアミューズメントバーとなりますが、特にスロットマシン、ルーレット台、トランプ台などの「射幸心をそそるおそれのある遊戯設備」を備えたバーを指してアミューズメントバーと呼ぶことが多いようです。当ホームページにおいても後者の狭義のアミューズメントバーを指して使用します。

射幸心とは、「偶然やまぐれによって、労せずに利益を得ようとする気持ち」というような意味です。

 

 

風俗営業1号許可

接待を行うことはできますが、原則として営業時間は深夜12時まで(一部地域では深夜1時まで)となります。

「風俗営業1号許可」+「深夜営業」というように許可を重複して取得することはできませんので、接待か営業時間かどちらかを選ばなければなりません。

 

「ガールズバー」など、〇〇バーといった名称であっても接待を行うのであれば1号許可が必要です。▶接待行為とは?

 

接待というと、「ガールズバー」などを想像する方が多いかもしれませんが、他にも「マジックバー(手品バー)」で一部の客の前、一部のテーブルでだけ手品を披露する行為、「ダーツバー」で客と店員がダーツをするといった行為も接待に該当する可能性が高いです。

 

さらに「トランプバー」「ポーカーバー」などで、ディーラーをおき客を相手にトランプをシャッフルしたり、配ったりする行為は接待に該当する可能性が高く、ディーラーをおくことはできないと思ってください。

まずトランプ台を設置するためには「風俗営業5号許可」が必要になるので、ディーラーを置くために「風俗営業1号許可」を取得したくても、先に述べた通り「風俗営業5号許可」+「風俗営業1号許可」というように許可を重複して取得することはできないので、「トランプバー」「ポーカーバー」などはあくまで客同士で遊ぶ場を提供するまでになります。(大阪府公安委員会では許可の重複取得が認められているようです)

 

 

風俗営業2号許可

照度を10ルクス以下として営業する場合に必要です。ただし5ルクス以下にしてはいけません。ちなみに10ルクスとは「上映前の映画館の明るさ」とか「ロウソクから20㎝離れた明るさ」などと例えられます。

接待を行うことはできません。

 

 

風俗営業3号許可

5㎡以下の客室を設ける場合に必要です。客室に鍵を付けることはできません。接待を行うことはできません。

 

 

風俗営業5号許可

射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるものを備え、当該遊技設備により客に遊技をさせる営業に必要です。

接待を行うことはできませんので、「風俗営業1号許可」でも触れましたが客と店員が遊技をすることはできません。

ただし、ルールを説明したり遊技設備の設定や準備をすることは問題ありません。

 

 

射幸心をそそるおそれのある遊技設備

①スロットマシン、パチンコ遊技機、パチスロ遊技機

②テレビゲーム機(射幸心をそそるおそれがある遊技の用に供されないことが明らかであるものを除く。

フリッパーゲーム機(ピンボールゲーム)

④上記の①~③以外で遊技の結果が数字、文字その他の記号又は物品により表示される遊技の用に供する遊技設備(人の身体の力を表示する遊技の用に供するもの、生年月日、血液型、自己の性格等を入力して遊技する占い機、その他射幸心をそそるおそれがある遊技の用に供されないことが明らかであるものを除く。)

⑤ルーレット台、トランプ及びトランプ台その他ルーレット遊技又はトランプ遊技に類する遊技の用に供する遊技設備その他、花札、サイコロ等を使用して遊技をさせ、優劣を争わせるための遊技設備

 

 

射幸心をそそるおそれのある遊技設備に該当しないもの

①モグラたたき機

②ドライブやフライトシュミレーションゲーム機(運転や操縦以外の結果が数字等により表示されるものを除く)

③パンチングマシンなどの人の身体能力を測定する機械

④占い機、プリクラ

⑤ビリヤード台

⑥デジタルダーツ機・シミュレーションゴルフ機(以下の条件付き)

・従業員が目視又は防犯カメラにより、設置されている全ての遊戯状況が確認できること。

・他に風俗営業5号許可に規定する営業の許可を要する遊技設備が無い、もしくは 「10%ルール」内であること。

 

 

10%ルール

射幸心をそそるおそれのある遊技設備を設置する場合は、「風俗営業5号許可」が必要というのが原則ですが、例外としてゲーム機設置部分を含む店舗の客席部分の床面積に対して客の遊技の用に供される部分の床面積の占める割合が10%超えない場合は、「風俗営業5号許可」を取得しなくても良いというものです。

たまに旅館の一角やデパートの屋上などにゲームコーナーがありますが、そのほとんどはこの10%ルールを利用したものだと思われます。

客の遊技の用に供される部分の床面積は、実際のゲーム機の設置面積×3で算出します。この算出された面積が1,5㎡に満たないときは1.5㎡として扱います。

参考リンク▶ゲーム機設置の10%ルール

 

 

 

深夜営業開始届出

深夜(午前0時以降午前6時まで)に、酒類の提供をメインとする営業を行う場合に必要となります。

接待を行うことはできません。

 

 

飲食店営業許可のみ

風俗営業1~5号、深夜営業のどの営業形態に該当しない場合は「飲食店営業許可」のみで営業できます。

例えば、デジタルダーツ機を設置し、10%ルールの範囲内でスロットマシン等を設置するようなダーツバーでも、深夜0時までの営業であれば「飲食店営業許可」のみで営業できます。

 

 

 

 

喫煙を可能にする方法

2020年の改正健康増進法の施行により飲食店内は原則として禁煙となりました。

しかし、営業所を喫煙目的店とすることで店内で喫煙を可能にすることができます。

「シガーバー」や「シーシャバー」のようなタバコに特化したお店でなくても大丈夫です。

喫煙目的店となるためには「たばこの出張販売先」となり「たばこの対面販売を行う」ことが一つの要件となります。

また、「通常主食とされる食事を主に提供しない」ということも要件となります。

詳しくは▶たばこの出張販売許可

 

 

 

 

 

風俗営業許可の取得方法

飲食店営業許可の取得と比べると格段にハードルが高くなっています。

要件、提出書類の量がかなり多いので、ここでは大まかな流れを説明します。

さらにくわしくはこちらをご参考にして下さい。▶風俗営業許可申請・風営法の許可申請手続きの方法

 

 

3つの要件を満たす

風俗営業の許可を取得するためには、次の3つの要件を満たしていることが必要です。

①人的要件 風営法の4条に定められている欠格事由に該当していないこと。

 主な欠格事由:未成年者、破産者、一定の犯罪を犯し、その刑期を終えてから5年経っていない者。

 人的要件について、詳しくはこちら

②場所的要件 営業所が「近隣商業地域」「商業地域」「準工業地域」「工業地域」のいずれかで、保全対象施設(学校や病院など)

 から一定の距離を保っていること。

 場所的要件について、詳しくはこちら

③構造・設備的要件 構造・設備が風営法施行規則7条で定める技術上の基準に適合していること。

 主には、営業所の広さ、明るさ、見通し、騒音などの基準です。

 構造的・設備的要件について、詳しくはこちら

 

 

必要書類を揃える

青字で記載した書類は必ず必要になります。他の書類も求められる場合が多いですが、警察署や担当者によって不要こともあります。

許可申請書

営業の方法を記載した書類

営業所の使用について権原を有することを疎明する書類(使用承諾書・賃貸契約書・建物の登記事項証明書等)

営業所の平面図等(営業所平面図、営業所求積図、客室等求積図、音響・照明図)

・営業所周辺の概略図

住民票(申請者、管理者の双方必要)

身分証明書(申請者、管理者の双方必要)

定款及び登記事項証明書(法人の場合)

・誓約書

 ・人的欠格事由に該当しないことを誓約する書面

 ・管理者が誠実に業務を行うことを誓約する書面

 ・管理者が人的欠格事由に該当しないことを誓約する書面

管理者の写真2枚

・飲食店営業許可証のコピー

・メニュー表

・入居概況説明図

・1階概略図

・入居階概況略図

・営業時間を遵守することを誓約する書面

・申請手数料24,000円(現金納付)

必要書類の書き方など、詳しくはこちら

全ての書類が揃ったら、所轄の警察署へ許可申請を行い、同時に実査の予約をします。

 

 

浄化協会による実査

実査とは、浄化協会や警察署の人が実際に営業所に訪れ、構造設備等に不備はないか?提出書類と違うところは無いか?の確認や、風俗営業をしていくうえでの注意点の説明等を行うことです。

実査までに下記の準備をしておいてください。

・店舗の入口に「18歳未満立ち入り禁止」の掲示

・店内に「20歳未満のお客様への酒類提供はいたしません」という掲示

・店内の客の見やすいところに料金表の掲示

・従業者名簿の用意

・迷惑行為防止措置(午前0時以降も営業する店舗のみ)

・苦情処理に関する帳簿の用意(午前0時以降も営業する店舗のみ)

実査での主なチェックポイントと準備について、詳しくはこちら

 

 

営業許可

提出書類に不備がなく、実査でも問題がなければ申請から55日以内に許可が出ます。

 

 

 

深夜営業許可の取得方法

正しくは「許可」ではなく「届出」で、「深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届」となります。

この届出も風俗営業許可ほどではありませがん、結構なハードルの高さとなっています。

ここでは大まかな流れを解説していきますので、さらにくわしくはこちらをご参考下さい。▶深夜営業許可の取得方法(深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出

 

 

深夜営業ができる地域

東京都では、住宅集合地域では「深夜営業」はできません。

深夜営業ができる地域は、「近隣商業地域」「商業地域」「準工業地域」「工業地域」になります。

「風俗営業許可」にある「保全対象施設」というものはありませんので、すぐ近くに病院や学校等があっても営業可能です。

 

 

営業所、設備の要件

営業所の広さ、明るさ、見通し、騒音などの基準を満たしていること。

 

 

必要書類を揃える

青字で記載した書類は必ず必要になります。他の書類も求められる場合が多いですが、警察署や担当者によって不要こともあります。

・深夜営業開始届出書

・営業の方法

・各種図面(営業所平面図、営業所求積図、客室等求積図、音響・照明図)

・住民票(本籍地が記載されているもの)(法人の場合は役員全員分)

・飲食店営業許可書(コピーしたものでも可)

・定款のコピー、会社の登記簿謄本(法人の場合のみ、個人の場合は不要)

・在留カードのコピー(表、裏の両面)(外国人の場合)

・メニュー表

・営業所周辺の概略図

・賃貸借契約書等(自己所有の建物の場合は、建物の登記簿謄本)

・使用承諾書

・入居階平面図

・誓約書

 

全ての書類が揃ったら、所轄の警察署へ届出をします。

不備がなければ届出をした10日後から「深夜営業」を開始できます。 

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