コンセプトカフェを開業する「許可・手続き」行政書士が解説
コンセプトカフェ(コンカフェ)、メイドカフェ、メイド喫茶、コンセプトバーなどを開業するためにはどんな許可が必要なのか?風営法の手続きを専門にしている行政書士が、なるべくわかりやすく解説します。
まず必要になるのが「飲食店営業許可」です。
そして「飲食店営業許可」を取得したうえで、コンセプトカフェなどでは多くの場合が「風俗営業1号許可」を取得することになります。
また営業の形態によっては「風俗営業1号許可」ではなく「深夜営業」の届出をする必要があったり、「飲食店営業許可」以外は不要なこともあります。
どのような場合にどのような手続きが必要になるのか?順を追って解説していきます。
目次
飲食店営業許可
どのような営業形態であっても、飲食物の提供をする以上はまず「飲食店営業許可」を取得する必要があります。
大きな流れとしては、保健所への事前相談→許可申請→設備検査→許可という感じになります。
①保健所に事前相談
主に、設備や構造に関する事前確認になりますので、施設の工事着工前であれば、施設の設計図面等を持参してください。
営業許可申請書 | 1部 | 裏表両面に記入してください。 |
施設の構造及び設備を示す図面 | 2部 | 営業所の施設見取り図や設備・施設の詳細が必要です。 |
申請手数料 | 18、300円(港区は16、000円) | |
食品衛生責任者の資格を証明するもの | 1部 | 食品衛生責任者手帳や調理師免許等(コピー可) |
貯水槽や井戸水を使用する場合は、水質検査成績書 (取得後1年以内のもの) |
1部 |
賃貸物件の場合は、不動産会社やビル管理会社から入手できると思います。(コピー可) |
(法人で申請する場合) |
営業許可申請書に記載された法人番号により、その法人の存立を確認します。 そのため、営業許可申請書の法人番号を記載しない場合は登記事項証明書を添付してください。(コピー可) |
③施設検査日時の予約
営業許可申請の後、保健所職員が施設を確認しに実際に店に来ます。その日時を予約します。
④施設検査
検査の際は営業者が立ち会う必要がります。
保健所食品衛生監視員の検査を受け、施設の基準などに合致していれば、許可が下ります。
施設基準に適合しない場合は、改善後に日を改め再検査となります。
⑤営業許可書交付
営業形態ごとに必要な手続き
コンセプトカフェの「営業時間」や「接待行為の有無」によって必要な手続きが異なります。
下記の表をご覧下さい。
営業の形態 | 必要な手続き |
接待をする | 風俗営業1号許可 |
深夜0時以降も営業する | 深夜営業届出 |
深夜0時までに閉店する | 飲食店営業許可のみ |
接待をする場合
店側の人間が客と談笑したり、チェキなど一緒に写真を撮ったり、キャストの撮影をさせたり、カラオケでデュエットする、一緒にダーツをするなどの行為は接待に該当し「風俗営業1号許可」を取得する必要があります。
一口にコンセプトカフェと言っても幅広いですが、キャストがコンセプトに沿ったコスプレ(メイド、猫耳、チャイナドレス、ナースなど)やサービスを提供するような業態のお店ではほとんどの場合「風俗営業1号許可」が必要になると思います。
最近話題の麻雀バーにつきましてはこちらをご参考にしてください。
「カウンターの内側と外側であれば接待にはならない」という話を聞くことがありますが、全くそんなことはありませんので注意して下さい。カウンター越しでも談笑すれば接待行為とみなされることがほとんどでしょう。しかし、接待に該当するのか?しないのか?の線引きは非常に曖昧なところが多く、警察の判断次第なところもありますので、不安な場合は警察署に相談してみるのが良いですし、警察から指導を受けた場合は素直に改善して下さい。
どのような行為が接待に該当するのかは詳しくは▶接待行為とは?をご参考にしてください。
また、「風俗営業1号許可」は原則として午前0時までしか営業することができません。一部地域では午前1時まで営業することが可能です。▶風俗営業が午前1時まで可能な地域
深夜0時以降も営業する場合
深夜0時以降(一部地域では午前1時以降)も営業したい場合は、「深夜営業届出」が必要になります。(一般的に「深夜営業許可」と呼ばれることが多いですが、正しくは「許可」ではなく「届出」です。さらに正式には「深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出」となります。)
「深夜営業届出」をすれば営業時間の規制はなくなりますが、接待をすることはできません。
注意点として、「風俗営業1号許可」+「深夜営業届出」というように許可を重複して取得することはできませんので、「接待」を取るか「営業時間」を取るか決めなくてはなりません。
深夜0時までに閉店する場合
接待をしない、深夜0時までに閉店するという場合は「飲食店営業許可」だけで営業することができます。
まとめると、接待をするなら「風俗営業1号許可」、午前0時以降も営業するなら「深夜営業届出」、どちらにも該当しないのなら「飲食店営業許可」だけ、「風俗営業1号許可」+「深夜営業届出」といった重複取得は不可能、となります。
行政書士杉並事務所は風営法に関する手続きを専門に迅速、格安で代行してます。お困りな時はお気軽にご相談下さい。▶料金表 |
深夜営業届出の手続き方法
飲食店営業許可の手続きと比べると結構なハードルの高さとなっています。
ここでは大まかな流れを解説していきますので、さらにくわしくはこちらをご参考下さい。▶深夜営業許可の取得方法(深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出)
深夜営業が可能な地域
深夜営業ができる地域は用途地域によって制限されています。
用途地域とは、地域ごとに建築できる建物の種類、用途を定めたルールのことです。
「営業所の場所(市区町村名)」+「用途地域」で検索すれば「用途地域マップ」というのが出てくると思います。
用途地域に「住居」という文字が入っている下記8種類の地域(住居集合地域)では、深夜営業をすることはできません。
「第一種低層住居専用地域」
「第二種低層住居専用地域」
「第一種中高層住居専用地域」
「第二種中高層住居専用地域」
「第一種住居地域」
「第二種住居地域」
「準住居地域」
「田園住居地域」
また、建築基準法によって、工業専用地域では飲食店は作れないことになっているので、
深夜営業ができる地域は、「近隣商業地域」「商業地域」「準工業地域」「工業地域」になります。
営業所、設備の要件
深夜営業をするためには、以下の営業所の広さ、明るさ、見通し、騒音などの基準を満たす必要があります。
①客室を複数設ける場合の1室あたりの床面積は、9.5㎡以上とすること。1室だけの場合は床面積の制限はありません。
②客室の内部に、おおむね1mを超える間仕切りや衝立などの見通しを妨げる設備を設けないこと。
③善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと。
④客室の出入口に施錠の設備を設けないこと。ただし、営業所外に直接通ずる客室の出入口には施錠の設備を設けても構いません。
⑤営業所内の照度が20ルクス以下とならないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。
⑥騒音又は振動の数値が条例で定める数値に満たないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。
必要書類の準備
青字で記載した書類は必ず必要になります。他の書類も求められる場合が多いですが、警察署や担当者によって不要こともあります。
・深夜営業開始届出書
・営業の方法
・各種図面(営業所平面図、営業所求積図、客室等求積図、音響・照明図)
・住民票(本籍地が記載されているもの)(法人の場合は役員全員分)
・飲食店営業許可書(コピーしたものでも可)
・定款のコピー、会社の登記簿謄本(法人の場合のみ、個人の場合は不要)
・在留カードのコピー(表、裏の両面)(外国人の場合)
・メニュー表
・営業所周辺の概略図
・賃貸借契約書等(自己所有の建物の場合は、建物の登記簿謄本)
・使用承諾書
・入居階平面図
・誓約書
全ての書類が揃ったら、所轄の警察署へ届出をします。
届出をした10日後から「深夜営業」を開始できます。
風俗営業1号許可の取得方法
飲食店営業許可の取得と比べると格段にハードルが高くなっています。
要件、提出書類の量がかなり多いので、ここでは大まかな流れを説明します。
さらにくわしくはこちらをご参考にして下さい。▶風俗営業許可申請・風営法の許可申請手続きの方法
3つの要件を満たす
風俗営業の許可を取得するためには、次の3つの要件を満たしていることが必要です。
①人的要件 風営法の4条に定められている欠格事由に該当していないこと。
主な欠格事由:未成年者、破産者、一定の犯罪を犯し、その刑期を終えてから5年経っていない者。
人的要件について、詳しくはこちら
②場所的要件 営業所が「近隣商業地域」「商業地域」「準工業地域」「工業地域」のいずれかで、保全対象施設(学校や病院など)
から一定の距離を保っていること。
場所的要件について、詳しくはこちら
③構造・設備的要件 構造・設備が風営法施行規則7条で定める技術上の基準に適合していること。
主には、営業所の広さ、明るさ、見通し、騒音などの基準です。
構造的・設備的要件について、詳しくはこちら
必要書類の準備
青字で記載した書類は必ず必要になります。他の書類も求められる場合が多いですが、警察署や担当者によって不要こともあります。
・許可申請書
・営業の方法を記載した書類
・営業所の使用について権原を有することを疎明する書類(使用承諾書・賃貸契約書・建物の登記事項証明書等)
・営業所の平面図等(営業所平面図、営業所求積図、客室等求積図、音響・照明図)
・営業所周辺の概略図
・住民票(申請者、管理者の双方必要)
・身分証明書(申請者、管理者の双方必要)
・定款及び登記事項証明書(法人の場合)
・誓約書
・人的欠格事由に該当しないことを誓約する書面
・管理者が誠実に業務を行うことを誓約する書面
・管理者が人的欠格事由に該当しないことを誓約する書面
・管理者の写真2枚(縦3cm横2.4cm)
・飲食店営業許可証のコピー
・メニュー表
・入居概況説明図
・1階概略図
・入居階概況略図
・営業時間を遵守することを誓約する書面
・申請手数料24,000円
必要書類の書き方など、詳しくはこちら
全ての書類が揃ったら、所轄の警察署へ許可申請を行い、同時に実査の予約をします。
浄化協会による実査
実査とは、浄化協会や警察署の人が実際に営業所に訪れ、構造設備等に不備はないか?提出書類と違うところは無いか?の確認や、風俗営業をしていくうえでの注意点の説明等を行うことです。
実査までに下記の準備をしておいてください。
・店舗の入口に「18歳未満立ち入り禁止」の掲示
・店内に「20歳未満のお客様への酒類提供はいたしません」という掲示
・店内の客の見やすいところに料金表の掲示
・従業者名簿の用意
・迷惑行為防止措置(午前0時以降も営業する店舗のみ)
・苦情処理に関する帳簿の用意(午前0時以降も営業する店舗のみ)
実査での主なチェックポイントと準備について、詳しくはこちら
営業許可
提出書類に不備がなく、実査でも問題がなければ申請から55日以内に許可が出ます。
「風俗営業1号許可」「深夜営業届出」ともに非常に難しい手続きだと思います。その最大のポイントは図面作成です。
行政書士杉並事務所では図面作成代行はもちろん、できる限り個別に必要な手続きだけを代行いたします。お気軽にご相談下さい。