西麻布でシガーバー開業の各種手続きを代行しました。
令和6年5月初旬
法人様より港区西麻布でシガーバーを開業するための諸々の手続きをお願いしたいとのご相談をいただきました。
2020年4月の改正健康増進法の全面施行によって飲食店内は原則禁煙となりました。
店内に喫煙ルーム等を設置することで一部を喫煙可能とすることはできますが、その場合でも飲食と両立することは出来ません。
参考リンク▶飲食店を喫煙可能にする方法
シガーバーのように喫煙をしながら同じ空間で飲食もできるようにする為には喫煙目的施設とする必要があります。
参考リンク▶シガーバーを開業する
喫煙目的施設の要件は
「たばこの対面販売」を行い、併せて設備を設けて客に「飲食をさせる」。ことです。
ただし、通常主食と認められる食事を提供するものは除かれます。
「通常主食と認めらる食事」というなんとも曖昧な表現がされていますが、厚生労働省の改正健康増進法の施行に関するQ&Aでは
「主食とは社会通念上主食と認められる食事をいい、米飯類、パン類(菓子パン類を除く。)、麺類等が主に該当しますが、主食の対象は各地域や文化により異なるものであることから、実情に応じて判断されます。」と回答されています。結局のところ曖昧です。
このような曖昧な表現に乗じてかどうかは判りませんが、これは主食ではないかと思うようなメニューを提供していながら「喫煙目的施設」となっているお店さんもまれに見かけます。
今回手続きを行う店舗ではドリンク以外には軽い乾き物しか提供しないとのことですので全く問題はありません。
「たばこの出張販売許可」を取得し「たばこの対面販売」を行なえば「喫煙目的施設」の要件は満たせます。
ですので今回必要な手続きは
飲食物を提供する為の「飲食店営業許可」
深夜0時以降も営業する為の「深夜営業の届出」
たばこの対面販売を行う為の「たばこの出張販売許可」
以上の3つとなります。
この中ではたばこの出張販売許可が許可までに一番時間がかかりますので、真っ先にこちらの申請から行います。
といっても必要書類をJTの東京支社へ郵送するだけです。
今回の必要書類は
・出張販売許可申請書
・たばこ出張販売にかかる業務委託に関する覚書
・同意書
・出張販売先の平面図
・委任状
以上です。
郵送した10日後位にJTの担当者様から現場検査の日程調整の連絡がありました。
ご依頼者様にも確認し最短の日時での検査をお願いしました。
現場検査は毎度5分位で問題なく終了します。
こちらは後は許可を待つだけです。
たばこの出張販売許可と同時進行で飲食店営業許可取得の手続きも行います。
参考リンク▶飲食店営業許可
飲食店営業許可の申請先は「みなと保健所」です。
今回の提出書類は
・営業許可申請書
・施設の構造及び設備を示す図面
・食品衛生責任者手帳のコピー
・法人登記事項証明書のコピー
以上です。
港区では今年いっぱいは個人申請、資本金5,000万以下の法人の申請手数料(16,000円)は免除となっています。
1つ懸念としまして厨房内に2槽シンクがあり、厨房から扉を開けたもう一つ奥のスペースに従業者用の手洗いがあるという構造のため扉より奥の部分が厨房と一体として認められるかという点がありました。
申請の際にも「検査の時に現場を確認したうえで担当者が判断します」とのことでした。
通常の飲食店営業許可を取得する為には
・食器洗浄用の水道設備
・食材洗浄用の水道設備
・従業者手洗い用の水道設備
と3つの水回りが必要で、ほとんどの店舗では2槽シンク(食器、食材洗浄用)と従業者用手洗い(いわゆるL5)を設置しています。
また、食器洗浄用の水道設備にはお湯が出る必要があります。
2槽シンク
従業者手洗い用
ですが、今回のようにドリンクと乾き物程度しか提供しない営業(簡易な営業)では食材洗浄用の水道設備は不要となり、水回りは2つあれば足りることになります。
なのでもし現場検査の際に扉の奥が厨房として認められなくても、手前の厨房内に2槽シンクがありますのでその一方を食器洗浄用、もう一方を従業者用手洗いとすれば簡易な営業許可は問題なく下ります。
ただし、もしこの先で火を扱うような調理品も提供したいとなった時に面倒ですので、できることなら通常の飲食店営業許可を取っておきたいところです。
結果としましては、現場検査の際に扉を常時開放しておいてもらえれば扉の奥も厨房と一体とみなせるとのことで、ご依頼者様も扉を常時開放しておくことに問題ないとのことでしたので、そのようにし通常の飲食店営業許可を取得することができました。
港区は原則として現場検査に合格した5営業日後に飲食店営業許可書が発行されます。
また、現場検査の後に深夜営業届出の図面作成のために店内の計測等を行わせていただきました。
客室は1フロアなのですがやや広めで形状も凹凸があります。
東京都では任意の1点から客室全体が見渡せなくてなりません。
任意の1点から客室全体が見渡せない場合はそれが個室ではなくても別の客室という扱いになってしまいます。
今回のお店は任意の1点から客室全体が見渡せそうでほんとに微妙なところで見渡せないという感じでしたので、面積的にも問題なかったので2室として扱うことにしました。
深夜営業の場合、客室を複数設ける時は客室の面積は9.5㎡以上なくてはなりませんので小さ目なお店だと厄介な問題となることがあります。
事務所へ戻って深夜営業届出用の図面作成をします。
その他の必要書類がそろったところで届出です。
参考リンク▶深夜営業の届出
深夜営業開始届出の手続き先は麻布警察署です。
今回の提出書類は
・深夜営業開始届出書
・営業の方法
・各種図面(営業所平面図、営業所求積図、客室等求積図、音響・照明図)
・住民票(本籍地が記載されているもの)
・飲食店営業許可書(コピー)
・定款(コピー)
・会社の登記事項証明書
・メニュー表
・営業所の周囲の略図
・賃貸借契約書(コピー)
・委任状
以上です。
無事に受理され「届出受領書」を受け取り終了です。
ありがとうございました。