相続法解説(民法第5編) 第1章 総則
第882条【相続開始の原因】
相続は、死亡によって開始する。
解説
相続開始の原因は人の死亡です。失踪宣告による擬制的死亡も含みます。
第883条【相続開始の場所】
相続は、被相続人の住所において開始する。
解説
原則として、住民票上の住所になりますが、実際には別の住所に居住していた場合は、居住していた住所が「相続開始地」となります。
第884条【相続回復請求権】
相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から20年を経過したときも、同様とする。
解説
相続権のない人や、法定相続権を超えて遺産を占有している人に対して、自己の本来の相続財産を取り戻す為の請求をする権利があります。
しかしその権利は、権利を侵害された事実を知った時から5年間、相続開始の時から20年間を経過すると時効によって消滅します。
民法 第885条【相続財産に関する費用】
相続財産に関する費用は、その財産の中から支弁する。ただし、相続人の過失によるものは、この限りでない。
解説
「相続財産に関する費用」の典型例としては、遺産分割が完了するまでの不動産の維持管理費や固定資産税、火災保険などの公租公課があります。
そのような費用は相続財産の中から支払います。
ただし被相続人の死亡後も引き続きその不動産に居住し続けている相続人がいるような場合はその相続人が自身の財産の中から支払う必要があります。
その他、相続放棄や限定承認の手続き費用なども相続財産の中から支払うことができます。
ただし相続人の過失により余計な費用が発生した場合は、その相続人にその余計な費用を負担させてもよい。