神奈川で特定遊興飲食店を開業【許可・手続き】行政書士が解説
「特定遊興飲食店営業」とは、平成28年6月23日から施行された改正風営法により新たに定められた営業形態の呼称で、「特定遊興飲食店営業」を行うためには許可を取得しなくてはなりません。
目次
行政書士杉並事務所では特定遊興飲食店営業の許可取得代行を15,5000円(税込)~で承っております。 |
特定遊興飲食店営業とは?
風営法では、”「特定遊興飲食店営業」とは、ナイトクラブその他設備を設けて客に遊興をさせ、かつ、客に飲食をさせる営業(客に酒類を提供して営むものに限る。)で、午前六時後翌日の午前零時前の時間においてのみ営むもの以外のもの(風俗営業に該当するものを除く。)をいう。”と定めれています。
条文にも記されている通り、(踊る)「クラブ」「ディスコ」などが「特定遊興飲食店営業」の代表的なものといえますが、それ以外でも「設備を設けて客に遊興させ」「午前0時以降も酒類を提供する」「午前0時以降も遊興させる」といった営業形態の場合は「特定遊興飲食店営業」に該当します。「ライブハウス」「ショーパブ」など
午前0時以降は遊興させないのであれば「深夜酒類提供飲食店営業」になります。
遊興に該当する行為
営業者側の積極的な行為によって客に遊び興じさせる場合は遊興に該当する可能性が高く、客が自主的に遊び興じる場合は遊興に該当しない。
①鑑賞型のサービス
ショー等を鑑賞するよう客に勧める行為、実演者が客の反応に対応し得る状態で演奏・演技を行う行為は遊興に該当する。これに対して、単にテレビの映像や録音された音楽を流すような場合は、積極的な行為とはいえず遊興には該当しない 。
②参加型のサービス
遊戯等を行うよう客に勧める行為、遊戯等を盛り上げるための言動や演出を行う行為等は 積極的な行為に当たり遊興に該当する。 これに対して客が自ら遊戯を希望した場合に限ってこれを行わせるとともに、客の遊戯に対して営業者側が何らの反応も行わないような場合は、積極的な行為とはいえず遊興には該当しない。
遊興に該当するか?しないか?もう少し具体的な例を下記の表にまとめます。
遊興に該当する(営業者の積極的な行為がある) | 遊興に該当しない(営業者の積極的な行為がない) |
ショーパブ、ショークラブ 不特定の客にショー、ダンス、演芸その他の興行等を見せる行為 |
カラオケボックス 不特定の客にカラオケ装置を使用させる行為 |
ピアノバー、ジャズバー 不特定の客に歌手がその場で歌う歌、バンドの生演奏等を聴かせる行為 |
メイドカフェなど 客にショーを見せたり、ゲーム大会に客を参加させたりせずに、単に飲食物の提供のみを行う行為 |
クラブ、ディスコ 客にダンスをさせる場所を設けるとともに音楽や照明の演出等を行い、不特定の客にダンスをさせる行為 |
プールバー、ダーツバーなど ボーリングやビリヤード、ダーツなどの設備を設けてこれを不特定の客に自由に使用させる行為 |
カラオケスナック、カラオケバー カラオケ装置を設けるとともに、不特定の客に歌うことを勧奨し 不特定の客の歌に合わせて照明の演出、合いの手等を行い、又は不特定の客の歌を褒めはやす行為 |
カラオケスナック、カラオケバー カラオケ装置を設けるとともに、不特定の客が自分から歌うことを要望した場合に、マイクや歌詞カードを手渡し、又はカラオケ装置を作動させる行為 |
スポーツバー バー等でスポーツ等の映像を不特定の客に見せるとともに、客に呼び掛けて応援等に参加させる行為 |
スポーツバー スポーツ等の映像を単に不特定の客に見せる行為(客自身が応援等を行う場合も含む ) |
その他 のど自慢大会等の遊戯、ゲーム、競技等に不特定の客を参加させる行為 |
その他 客が自主的に、歌合戦、ゲーム対決などを行い、これに営業者側は何らの反応も行わないような場合 |
社交飲食店、接待飲食店との違い
社交飲食店などに必要な風俗営業1号許可は、客に接待を行うことができ、客に遊興させることもできます。ただし、遊興させることができるのは午前0時までになります。
特定遊興飲食店は客に遊興させることができますが、接待はできません。
具体例として、社交飲食店(風俗営業1号許可)では、音楽に合わせて客と社交ダンスを踊ること(接待に該当する)ができますが、特定遊興では、音響や照明などで演出をすることはできますが、客とダンスを踊ることはできません。
接待に該当するのか?遊興に該当するのか?非常に線引きが曖昧な部分もあります。
どのような行為が接待に該当するのかは、こちらをご参考にしてください。▶接待行為とは?
行政書士杉並事務所は風営法に関する手続きを専門に迅速、格安で代行してます。お困りな時はお気軽にご相談下さい。▶料金表 |
飲食店営業許可が必要
「特定遊興飲食店営業許可」を取得する前提として、事前に「飲食店営業許可」を取得しておく必要があります。
「特定遊興飲食店営業許可」は警察署(公安委員会)の管轄ですが、「飲食店営業許可」は保健所の管轄になります。
「飲食店営業許可」の取得方法については▶飲食店を開業するためには?で詳しく解説してますのでご参考にしてください。
「特定遊興飲食店営業許可」取得までの流れ
特定遊興の許可を取得するには、まず「人的要件」「場所的要件」「構造・設備的要件」という3つの要件を満たしている必要がります。
また、管理者を選任しなければなりません。▶風俗営業の管理者とは?
そのうえで必要書類を揃えて許可申請を行い、実査(構造検査)を経て問題が無ければ許可取得となります。
それぞれを詳しく解説していきます。
人的要件
申請者が次のいずれかの欠格事由に該当する場合は許可が受けられません。申請者が法人の場合は、役員のうちだれか一人でも該当すると許可が受けられません。
管理者も欠格事由に該当していると許可が受けられませんので、管理者選任の際は欠格事由に該当していないことを確認して下さい。
欠格事由
・ 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
・ 1年以上の懲役もしくは禁錮の刑に処せられて、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過し
ない人
・無許可風俗営業、刑法の猥せつの罪、売春防止法、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律、職業安
定法、出入国管理及び難民認定法、労働基準法、児童福祉法違反で1年未満の懲役もしくは罰金の刑に処せられて、その執行を終わ
り、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない人
・集団的に、又は常習的に暴力的不法行為等を行うおそれのある者
・アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者
・心身の故障により風俗営業の業務を適正に実施することができない者
・風俗営業の許可を取り消されて5年を経過しない者
・営業に関して成年者と同一の能力を有しない未成年者 など
その他、風営法第4条に定められています。今までに逮捕歴が無く、交通違反以外で罰金を支払ったことが無い人ならば問題ありません。
また、申請人が外国人の場合は次のいずれかの在留資格が必要になります。
「日本人の配偶者等」「永住者・特別永住者」「永住者の配偶者等」「定住者」「経営・管理」
場所的要件
神奈川県内で特定遊興飲食店営業の営業所を設置できるのは以下の地域のみとなります。
ただし、以下の地域内であっても保全対象施設と一定の距離内の場合は営業所を設置することはできません。
横浜市中区のうち
相生町、曙町(一般国道16号の東側及び5丁目を除く。)、伊勢佐木町(7丁目を除く。)、太田町、尾上町、黄金町、末広町、末吉町(4丁目を除く。)、住吉町、長者町(1丁目から5丁目までを除く。)、常盤町、野毛町(3丁目及び4丁目を除く。)、羽衣町(一般国道16号の東側を除く。)、初音町(県道218号の西側を除く。)、花咲町(2丁目及び3丁目を除く。)、日ノ出町(県道218号の西側を除く。)、福富町仲通、福富町西通、福富町東通、弁天通、本町(一般国道133号の北側を除く。)、真砂町(1丁目を除く。)、港町(1丁目を除く。)、南仲通、宮川町(3丁目を除く。)、吉田町及び若葉町
川崎市川崎区のうち
砂子、駅前本町、小川町、東田町、堀之内町、本町(一般国道409号の北側を除く。)、南町及び宮本町
保全対象施設との距離制限
保全対象施設(建設予定地を含む) | 距離制限 |
児童福祉施設(深夜に入所させるもの。)並びに病院及び診療所(患者を入院させるための施設を有するもの。) | 30m |
ホテル等内適合営業所の基準
営業所設置許容地域外にあるホテル・旅館がホテル等内適合営業所の基準を満たす場合は特定遊興飲食店営業を営むことができます。
≪基準抜粋≫
- 同一階のほかの区域、直上・直下の部分をホテル等営業者又は風俗営業者等が管理していること。
- バルコニーを設置する場合はバルコニーに通じる出入口に二重扉を設けること。
- 非常の場合を除き、ホテル等営業者が管理する部分を通じてのみ客が営業所に出入りできる構造であること。
- ホテル等営業者が営業所への客の出入りを管理できること。
- 営業所が設けられるホテル等の施設が店舗型性風俗特殊営業4号営業(ラブホテル、モーテル等)の用に供されないこと。
構造・設備的要件
次の各要件を満たしていないと許可を受けることができません。
・客室の床面積が33㎡以上であること
・おおむね1mを超える間仕切りや衝立などの見通しを妨げる設備を設けないこと
・善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと
・室の出入口に施錠の設備を設けないこと。ただし、営業所外に直接通ずる客室の出入口については、この限りでない
・営業所内の照度が10ルクス以下とならないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること
・騒音又は振動の数値が条例で定める数値に満たないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること
必要書類の準備
必要提出書類等一覧(警察署によって扱いが違う場合もあります。何を提出すべきかをしっかり確認して下さい。)
・許可申請書
・営業の方法を記載した書類
・営業所の使用について権原を有することを疎明する書類(使用承諾書・賃貸契約書・建物の登記事項証明書等)
・営業所の平面図等(営業所平面図、営業所求積図、客室等求積図、音響・照明図)
・営業所周辺の概略図
・住民票(申請者、管理者の双方必要)
・身分証明書(申請者、管理者の双方必要)
・定款及び登記事項証明書(法人の場合)
・誓約書
・人的欠格事由に該当しないことを誓約する書面
・管理者が誠実に業務を行うことを誓約する書面
・管理者が人的欠格事由に該当しないことを誓約する書面
・管理者の写真2枚
・飲食店営業許可証のコピー
・メニュー表
・入居概況説明図
・1階概略図
・入居階概況略図
・営業時間を遵守することを誓約する書面
・申請手数料24,000円
*営業所の平面図等は状況に応じてA3の用紙でも構いませんが、他の作成書類はA4で統一して下さい。
許可申請
3つの要件を満たし、必要書類が揃ったら所轄の警察署へ許可申請をします。
申請は予約制の所が多いので事前に確認しておきましょう。
特定遊興飲食店営業許可を取得するためには実査(構造検査)を受けなければなりません。
申請手続きが済んだら、実査の日程を予約します。申請から早くても1週間、ほとんどの場合2週間程度後になります。
実査(構造検査)
実査とは、浄化協会や警察署の人が実際に営業所に訪れ、構造設備等に不備はないか?提出書類と違うところは無いか?の確認や、風俗営業をしていくうえでの注意点の説明等を行うことです。
実査までの準備
・店舗の入口に「18歳未満立ち入り禁止」の掲示:特定遊興飲食店は、夜10時以降の18歳未満者の立ち入りが禁止されています。
全時間帯の立ち入りを禁止する場合でも、夜10時以降の立ち入りを禁止する場合でもその旨を店舗の入り口に掲示する必要があります。
・店内に「20歳未満のお客様への酒類提供はいたしません」という掲示
ホームセンターやネット通販で、プレートやシールが販売されてます。立ち入り18禁、飲酒20禁という内容であれば、一言一句決められている訳ではありませんので気に入ったデザインのものを購入または自作して下さい。
・店内の客の見やすいところに料金表の掲示
申請時は仮のメニューでも大丈夫ですが、実査時には実際に営業に使うものを店内の見やすいところに掲示しておいて下さい。
・従業者名簿の用意
従業者名簿とは、従業者の必要情報をリスト化したもので、風俗営業者が作成、保管しておくものです。
法定様式はありませんが、必須の記載事項が定められていますのでテンプレートを使用することをお勧めします。
実査の時点では採用が決まっておらず従業者がいないような場合は、未記入の用紙だけでも準備しておいた法が無難ですが、
パソコンによる管理も認められていますのでその場合は、いつでも表示、印刷できるようにしておいて下さい。
試験的な採用や短期間の採用であっても名簿の作成が必要で、従業者の退職後3年が経過するまでは、名簿を保存しておかなくてはいけません。
客に接する業務を行う従業者については、生年月日、国籍を法定の書類により確認し、その写しを保存しておかなくてはなりません。
以下に、「従業者名簿」のテンプレートを用意しておきます。
こちらからPDFファイルをダウンロードできます こちらからwordファイルをダウンロードできます
従業者名簿についてさらに詳しくは▶従業者名簿
・迷惑行為防止措置(午前0時以降も営業する店舗のみ)
午前0時以降も営業をする店舗では、以下の迷惑防止措置を講じる必要があります。
・営業所の周辺において他人に迷惑を及ぼしてはならない旨を記した書面を、営業所の見やすい場所に掲示する。又は交付する。
・営業所の周辺において他人に迷惑を及ぼしてはならない旨を口頭や音声で知らせる。
・泥酔した客に対して酒類を提供しないこと。
・営業所内や営業所の周辺を定期的に巡視し、営業所の周辺において他人に迷惑を及ぼす行為を行ったり、行うおそれのある客がいな
いかを確認すること。また、そのような客に対して行為を取りやめるように、行為を行わないように求めること。
・これらの措置が適切に行われるように、営業者や管理者が従業員を教育すること。
以下に「営業所の周辺において他人に迷惑を及ぼしてはならない旨を記した書面」のテンプレートを用意しておきます。
実査の際には、店内の見やすい場所に掲示しておいて下さい。
こちらからPDFファイルをダウンロードできます こちらからwordファイルをダウンロードできます
・苦情処理に関する帳簿の用意(午前0時以降も営業する店舗のみ)
午前0時以降も営業をする店舗では、苦情処理に関する帳簿を用意する必要があります。
苦情処理に関する帳簿には、以下の内容を記載する必要があります。
・苦情を申し出た者の氏名及び連絡先(氏名又は連絡先が明らかでない場合は、その旨)並びに苦情の内容
・原因究明の結果
・苦情に対する弁明の内容
・改善措置
・苦情処理を担当した者
また、苦情があった日から3年間は保存しなくてはなりません。
以下に「苦情処理に関する帳簿」のテンプレートを用意しておきます。
実査の際には、この用紙を用意しておいて下さい。
こちらからPDFファイルをダウンロードできます こちらからwordファイルをダウンロードできます
以上の準備を実査までに完了しておいて下さい。
実査は店舗の規模にもよりますが、1時間はかかると思って下さい。
実査が終わると、あとは許可か不許可かの連絡を待つだけです。
提出書類に不備がなく、実査でも問題がなければ、申請から55日以内に許可がおります。
営業許可
許可が出ると警察署から連絡があります。警察署へ出頭し営業許可証と管理者証を受領して下さい。
許可証は原本を営業所の見やすい場所に掲示してください。許可証の掲示義務違反は30万円以下の罰金となりますのでご注意下さい。
また、営業許可証の内容に変更が生じた場合や、廃業する場合にも手続きが必要になります。